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VDI大規模導入のコツ:前編

VDI導入を進める担当者の悩み

OA環境のデジタル化は、企業にとって大きな決断です。単にインフラの再整備ではなく企業のセキュリティポリシーや労務規定、評価制度といったことも同時に考慮しなければならないため、全社的に取り組む体制が必要とされます。このような施策はセキュリティの強化や従業員エンゲージメントなどへの効果はあるものの、売上拡大に直接影響するものではなく、またコスト削減の効果が見えづらいという特性があるため、企業内での優先度が低くなりがちでした。しかし昨今の働き方改革の推進、また新型コロナ対策からテレワークへの対応が求められ、日本政府のデジタル庁新設の動きもあり、早期にOA環境のデジタル化を進め、売上げの回復・増大につなげていくことが求められています。中にはトップダウンで業務環境のVDI移行を指示され、どう進めてよいかわからないという情報システム部門ご担当者様もいることでしょう。今回は、具体的なVDIの導入とテレワークの環境構築を進める上での「試行導入」「段階導入」「全社導入後の運用」の各フェーズにおける進め方のコツや具体的な苦労など、参考になるポイントをご紹介します。

全社的なVDI導入を成功させる方法とは

VDI導入の計画と実施には、業務や既存インフラへの影響などを考慮する必要があります。現場の意見を聞くこと、関連部署との連携、トップダウンで現実的なスケジュールを引いて調整・実行していくことが重要です。特にOA環境については従前どおりの業務ができなかったり、既存アプリやデバイスが動作しなくなるなどのリスク、またVDIに移行できない部署や業務の切り分けも必要となります。そのため一斉に全社導入するのではなく部分的な試行導入を行い、さまざまな影響を確認・調整した上で段階的に拡張していく導入ステップを推奨します。

試行導入フェーズのポイント

まずは部署や部門、役職レベルごとなど試行導入を行いながら、並行して利用状況の課題のヒアリングと調整を繰り返し定常的に利用できるリファレンス環境を作ります。その後社内向けの利用法や仕組みの勉強会などを行い、利用の定着を推進していきます。試行導入とはいえ、調査や調整を行う範囲は幅広くあり、検討段階で出てきた課題は、机上検証で見極められるものもあれば、実機で検証してみないとわからないこともあります。これらの課題を切り分け、整理した上で試行導入を進めていきます。このフェーズで考慮すべきことの一例を以下にご紹介します。

現場調査
業務で利用しているアプリケーションやサービスには、全社標準で使われているもの以外にも部署単位で利用しているものが多々あります。またVDIでテレワークが実施できる業務であるかを丁寧に検証する必要があります。その他、利用の仕方により負荷の高い利用者がいる場合は、同じ環境下の利用者への動作に影響が出てしまうことがありますので、あらゆる想定を踏まえたサイジングをする必要があります。

デバイスの把握
利用しているファイルサーバー、プリンタ、ICカードリーダーといったデバイスなど、VDI環境でも継続利用するか、また問題なく動作するかを判断します。

現場システム担当者との打ち合わせ
VDIとの連携が必要になる認証基盤の担当者と打合せを行い、連携方式の確認・調整が必要です。また、VDI利用によりネットワーク帯域への影響も想定されるため、ネットワーク担当者との利用規模に応じた影響範囲の調査や必要となる設定変更などの確認・調整が必要です。

セキュリティ担当者との調整
VDI環境が全社のセキュリティに影響が無いか、担当者と綿密な調査が必要です。

社内インフラのサポート担当者との調整
VDI導入後にユーザーからの問い合わせを社内インフラのサポート担当者で受け付ける場合には、各種マニュアルや手順書、FAQの整備、問い合わせ、トラブル発生時の一次切り分けの体制確立、ポータルサイトの整備などの調整が必要です。

VDI経費負担について
VDIのランニングコストは部門ごとの経費になるのか、全社一括しての支払いになるのかを明確にしておくことが必要です。

以上ご紹介したように、試行導入フェーズだけでも関連する担当者との連携、細部に渡る現場調査、検討事項があります。一つひとつの課題を把握し解決していくことがVDI導入の試行導入を成功させるカギとなります。

次回は「段階導入への移行」また「全社導入後の運用」の各フェーズにおけるポイントをご紹介いたします。