Column

ニューノーマル時代のワークスペース

テレワークを実施してわかった課題と
これからの働き方

新型コロナの感染リスク回避のため、緊急事態宣言の発令直後にはテレワークを実施した企業が急増しました。しかしそのままテレワークを継続実施している企業がある反面、約3割の企業はテレワークをやめたというデータがあります。企業により理由はさまざまですが、テレワークの制度が整っていない、またIT環境が整備されていないことがアンケートの上位に挙がっています。働き方が変化し続ける状況の中、これからの働き方はどうなっていくのでしょうか。実施してきて分かったテレワークにおける課題を見ながら考えていきましょう。
参考資料:東京商工会議所 「テレワークの実施状況に関するアンケート」  総務省 テレワークの最新動向と総務省の政策展開

テレワーク長期化による
コミュニケーションの課題

テレワークを実施して新たな課題が見えてきました。内閣府の調査によると「社内での気軽な相談・報告が困難」「取引先等とのやりとりが困難」「画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス」といったコミュニケーションの課題が多いことがわかっています。職場内では、他者の動きや表情、ちょっとした会話で意思の疎通ができますが、テレワークではいわゆる職場の雰囲気がありません。雑談する相手もなく孤独なため、テレワークの長期化による閉塞感からのストレス増加が懸念されます。
内閣府 第2回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査

セキュリティの課題

コミュニケーションに次いで多かった課題が「セキュリティ面の不安」です。総務省の調査によると、サイバー攻撃に関する対策の実施率として「セキュリティ対策ソフトが常に最新になるよう指示・設定している」が64.4%しかなく、また「対策のいずれも実施していない」が10.2%と、企業のセキュリティ対策が万全ではないことがわかります。また別の調査によると在宅勤務で使用する利用端末は、会社支給のPCやデバイスが約63.3%とある中、会社支給と私物の併用/私物PCの利用が約35.6%に及ぶ結果でした。前述の通り約46%にセキュリティ対策が施されていないことから、端末のセキュリティ対策が浸透していないことがうかがえます。
また在宅では多くが自宅ネットワークを利用し、Wi-Fiルーターや有線LAN経由で接続していると思われます。しかしルーターのアップデートを怠っている場合、脆弱性を突いた攻撃リスクがあるため、適切な設定を行い利用する必要があります。VPNを用いることにより外部からの読み取られるリスクは低減できますが、前述のようなセキュリティ対策に不安のある機器からの接続は危険です。端末やネットワーク機器全般の対策や設定の見直しを行いましょう。
参考資料:総務省 テレワークセキュリティに関する実態調査 東京商工会議所「テレワークの実施状況に関するアンケート」

新たな考え方 ゼロトラストネットワークアクセス

社内・社外とネットワークやデータの行き来が常態化するこれからの環境には、これまでのセキュリティ対策では十分とは言えません。さらに多様化するデバイス、クラウド利用、VPNによるリモートアクセス、高度化巧妙化するサイバー攻撃など、広範囲に渡るセキュリティの課題に対応する必要があります。
そこでこれらの課題を解決する概念として「ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)」に注目が集まっています。ゼロトラストネットワークは境界型のセキュリティ概念とは異なり、利用者がデータへアクセスする際、誰が、どのネットワークで、どんなデバイスでアクセスしに来ているかを常に検証するという手段で安全なアクセス目指す考え方です。今後、社外からのアクセス増加や、さまざまなデバイスやクラウド利用の常態化が進むと想定されるため、ゼロトラストネットワークの考え方がセキュリティモデルの主流になっていくと考えられます。

これからの働き方に適したワークスペースを構築

これからは、各企業が自社に適した出社と在宅勤務の割合を見定めていく必要があります。在宅勤務に必要な環境が間に合っていない企業は、その判断まで至らない状況ですが、ワークスペースの整備に伴う業務の見直しで、よりはっきりしてくるでしょう。
第1の課題であるコミュニケーションの課題に対しては、ツール未導入の企業はその利用を検討し、ツールを利活用した上でも不十分な場合は出社し相対で話をするなど、各社試行錯誤している状況と思われます。自宅と職場といった異なるロケーションで働くもの同士が、より協調し活性化に繋がるツールを追加で導入をする、またコミュニケーションを積極的に行うために定例の出社日を設けたり、業務時間中にオンラインで話す時間を設定したり、チームでは話づらい内容の場合は1on1による個人面談を行うといった、さまざまな工夫でコミュニケーション不足を解消する策を見出していくことが大事です。
第2の課題であるセキュリティは、企業が在宅時の環境まで管理しきれず、個人に委ねていることが大きな課題となっているため、利用端末をはじめ企業が責任を持って管理・提供することが急務となっています。この課題の有効な解決策として、ゼロトラストを実現するセキュリティ製品の利用が挙げられます。例えば、在宅からクラウドにアップロードするデータを制限するポリシー制御にはCASB(Cloud Access Security Broker)、社外にあるPCやデバイスを一元管理しセキュリティを担保したい場合にはUEM(Unified Endpoint Management)といったサービスがあります。これらを組み込むことで解決する課題もあるため、自社に適したサービスを探すことをおすすめします。
企業はこれらの課題を解決しながら、出社と在宅勤務の割合を検討する状況が続くと思われます。出社/在宅のハイブリッドの働き方を実現するニューノーマルのワークスペース構築を目指してはいかがでしょうか。